Cosmic history of Core-collapse Supernovae and Supernova Relic Neutrinos(重力崩壊型超新星爆発にみる宇宙史と残存超新星起源ニュートリノ)

【日時】6月22日(水) 10:30~12:00
【場所】国立天文台・三鷹 中央棟(北)1階 講義室
【発表者(敬称略)】鈴木 重太朗(総研大 D3・三鷹、指導教員 : 梶野 敏貴)
【タイトル】Cosmic history of Core-collapse Supernovae and Supernova Relic Neutrinos(重力崩壊型超新星爆発にみる宇宙史と残存超新星起源ニュートリノ)
 本研究は、超新星背景ニュートリノを観測手段として用い、その検出率を予測する際の理論的な仮定の妥当性を定量的に評価することにより、ニュートリノ振動パラメータ及び超新星爆発時のニュートリノ温度を従来より厳密に制限することを目的とする。また、大質量星形成の時間進化をより詳細に知ることを併せて目的とする。
 重力崩壊型超新星爆発の際には、多量のニュートリノが発生して重力的束縛エネルギーのほとんどを運び去ると考えられているが、ニュートリノは他の物質との反応性が乏しいため、過去の超新星爆発の際に発生したニュートリノは背景ニュートリノ(以下、SRNと略記)として現在も宇宙空間を飛び交っていると考えられている。但し、そのエネルギースペクトルを精度よく予測するためにはいくつかの不定性が障害となる。
これらの不定性のうちの主なものは超新星爆発時のニュートリノ温度の不定性であり、また、これまであまり着目されていなかったfailedSN(爆発後にブラックホールを残す超新星爆発)やガンマ線バースト(GRB)及びO-Ne-Mg核超新星爆発からの寄与についても検討の余地がある。
 本研究では、SRNエネルギースペクトルを決定する各要素がどのような不定性をどの程度有するか、及びそれらを減ずる方法を紹介し、これを踏まえて現在計画中の106 t級水チェレンコフ型検出装置において得られるエネルギースペクトルを予測する。そして、さらにこれを踏まえて、ニュートリノ振動パラメータ及び超新星ニュートリノ温度へ制限を加えうる可能性を議論する。