【日時】5月11日(水) 10:30~12:00
【場所】国立天文台・三鷹 中央棟(北)1階 講義室
【発表者(敬称略)】富田 賢吾(総研大 D3・三鷹、指導教員 : 富阪 幸治)
【タイトル】原始星形成過程の輻射磁気流体シミュレーション
星形成過程では様々な物理が重要になるが、多次元の輻射流体計算に基づく研究は始まったばかりである。これまで、低質量星の形成においては輻射輸送の効果は比較的重要ではなく、バロトロピック近似でも定性的に尤もらしい結果が得られると考えられてきた。しかし最近の研究では、原始星コアが形成される際に莫大なエネルギーが輻射で放出されて周囲のガスを加熱し、アウトフローが放出される(Bate 2010)、ファーストコアが破壊される(Schoenke & Tscharnuter 2011)といったこれまでの理解とは全く異なる現象が起こり得ることが報告されている。
これまで我々は多重格子輻射磁気流体計算により星形成過程初期に形成されるファーストコアについて研究を進めてきたが、原始星コア形成にまで研究を進めるため、目下化学反応を考慮した現実的状態方程式を取り入れたコードを開発している。本発表では関連する先行研究を紹介するとともに今後の方針について述べる。