【日時】2月20日(金) 10:30~12:00
【場所】国立天文台・三鷹 北研1階講義室
【タイトル】PICES project 及びCL0016に関する論文紹介
【発表者(敬称略)】山田 和範 (総研大 M1・三鷹、指導教員 児玉 忠恭)
銀河団は宇宙におけるもっとも大きな構造である。力学的タイムスケールがHubble timeに匹敵するため、これらの系は未だ力学的成長を続けている。
コールドタークマターシナリオによると、小さい構造が衝突合体を繰り返すことで大規模構造を形成し、その集合のプロセスにおいて銀河は他の銀河などから環境効果を受ける。しかし、精力的な研究にもかかわらずこの環境効果の背景にある物理プロセスは未だ確定的には把握されないでいた。これまでは、望遠鏡の集光力が弱く、まだ、一度に観測できる視野も狭かったため、銀河団か一般フィールドのどちらかに焦点を定めており、これら2 つの環境を橋渡す領域に関しての知見はほぼ得られていなかった。
PISEC project はすばる望遠鏡の30′ をカバーするsuprime-cam を利用することで、銀河団中心に始まり、周辺構造を経て、一般フィールドまで一気に観測することが出来る。このプロジェクトではこの特性を利用し、様々な進化段階における遠方銀河団の詳細な観測、また、それらの物理量の詳細を比較することで、銀河団スケールの集合化、星形成史及び環境効果を扱う。
今回紹介する論文は、PICES project の構想と、その内の3 つの銀河についてをまとめ、更に、中でも最も豊富な銀河を持ち広大な構造を持つ銀河団であるCL0016 の分光観測について書かれたものである。これらの論文は修士論文で解析する予定であるデータの基となるものであるため今回紹介することにした。