【日時】12月14日(水) 10:30~12:00
【場所】国立天文台・三鷹 中央棟(北)1階 講義室
【発表者(敬称略)】濟藤 祐理子(総研大 M1・三鷹、指導教員 : 林 左絵子 & 今西 昌俊)
【タイトル】Cosmological Evolution of SMBH mass-Bulge mass Relation investigated by SDSS QSOs at z~3
近傍宇宙では、銀河中心の超巨大ブラックホール質量M_BHとその母銀河のバルジ質量M_bulge との間に強い相関があり、両者が共進化してきたことを示唆する観測結果が多数得られている(e.g. Marconi & Hunt 2003)。一方、複数の理論モデルでは、M_BH/M_bulge比の異なる赤方偏移進化が予言されており、特に高赤方偏移ほどモデル間の差は大きくなっている。これらのモデルに対し観測的に制限を与える事は、ブラックホールと銀河の進化において鍵となるメカニズムを特定する上で重要であり、そのためには赤方偏移3 以上の天体について観測を行う必要がある。しかしながらこれまでのブラックホール・バルジ関係の観測的研究は、主に赤方偏移が2 以下の観測しか行われておらず、赤方偏移進化の理論モデルについて強い制限は与えられていない。
そこで我々は、SDSSクエーサーサンプルの中から赤方偏移3.11-3.50の天体を選び出し、これらに対して近赤外線分光観測によるブラックホール質量の導出とAO撮像観測によるバルジ質量の導出を行い、提唱されている理論モデルに対して観測的に制限を与えたいと考えている。これまでに、WHT/LIRIS、IRTF/SpeX、UKIRT/UISTを用いて分光観測を行い、我々のサンプルのうち明るい天体についてはほぼ分光観測が終了している。本講演では、具体的な研究手法について紹介すると共に、現在の研究の進行状況について報告する。