A High Redshift Protocluster Proved by Wide-field Imaging

【日時】11月30日(水) 10:30~12:00
【場所】国立天文台・三鷹 中央棟(北)1階 講義室
【発表者(敬称略)】利川 潤(総研大 M2・三鷹、指導教員 : 柏川 伸成
【タイトル】
A High Redshift Protocluster Proved by Wide-field Imaging
【アブストラクト】
銀河団は宇宙で最も重い、重力的に束縛された天体である。このような大質量の天体はダークマターの密度分布の特に高密度な領域において形成され、フィラメント構造の交差点のような場所に存在すると考えられる(Springel et al. 2005)。
また銀河団のように高密度環境に存在する銀河は”red sequence”(Visvanathan 1977)や形態密度関係(Dressler 1980)などのようにフィールド銀河とは異なる性質を持っていることが分かっている。
銀河団がどのように形成されたかを調べることにより「宇宙の構造形成がどのように進むのか」、「高密度環境において銀河はどのように進化するのか」という問題にアプローチすることができる。
銀河団形成を解明するためには様々な段階を調べることが必要であるが、銀河団が完成する前の段階の”原始銀河団”を研究することも重要である。
我々は特に形成の最初の段階と予測される遠方の原始銀河団を研究する。
まずSubaru Deep Fieldにおいて赤方偏移6の原始銀河団の発見を目指し研究を行ってきた。
Subaru/SprimeCam z’-bandで30時間積分の撮像データを用いることで258天体ものz~6 Lyman Break Galaxyを発見することができ、銀河の空間分布を詳細に調べることができた。
その結果、有意に高密度な領域が存在し、その高密度領域に対して分光追観測を行うことで8天体が奥行き方向についても集中していることが確かめられた。これをもって我々はz~6原始銀河団を発見したと考えている。
本発表ではこの発見について報告する。
この非常に遠方の原始銀河団の発見から、最初に述べたような大規模構造や銀河進化に関する問題にどのように取り組んでいくか、現在行なっている解析も踏まえて今後の展望についても紹介したい。