教員」カテゴリーアーカイブ

Observation ExperimentⅠA [ Experiment by Subaru ] Report English ver.

Graduate students from SOKENDAI (The Graduate University for Advanced Studies, Japan) conducted observation during the first half night of November 6, 2014 using Subaru Telescope. With the guidance and advices from the staff of the Subaru Telescope, they studied the surroundings of a quasar with Multi-Object InfraRed Camera and Spectrograph (MOIRCS). A faculty of SOKENDAI reports how the observation went.

subaru2014_1.jpg
Figure 1: Subaru Telescope’s enclosure at dusk. As the Sun goes down, the shutters of the Subaru Telescope enclosure started to open into a crisp air of about 4150 meter altitude (above 13,000 feet). Ventilators at the side and the rear of the telescope also start to open, to help equalize the temperature inside and outside of the building to ensure delivering sharp image into the observation instrument. (Credit: NAOJ,SOKENDAI)

 

The target of the night is a quasar of which luminosity is as much as 100 times greater than the entire Milky Way Galaxy. The source of energy is attributed to a super massive black hole in the nucleus of a galaxy in a great distance. Due to the large amount of their energy, it is possible to observe quasars even though they are far away.

How the quasars came to be? One of the mechanisms that might have contributed to them is the active star formation in their host galaxies. The indicator of such activity is the ionized hydrogen gas and the distribution of such gas can be detected in the specific emission lines in the spectrum, such as the one called H-alpha line. This line is in the visible wavelength, but shifts into the near infrared because the object is at the redshift z of 2.2. Use of MOIRCS, which has a wide field view as a near infrared imager, helps find such active star forming regions.

The observers of the night are the graduate students from SOKENDAI. SOKENDAI is a unique education-research facility in Japan, with only graduate course and bases on national institutions. National Astronomical Observatory of Japan serves as the Department of the Astronomical Science in SOKENDAI. It is important for a research facility to help grow the next generation researchers. Hence the staffs at Subaru Telescope assist and give advice to the graduate students’ learning.

The students took turns to intently monitor the observational condition, evaluate the data quality, and quickly adjust the integration time accordingly. By conducting observation at Subaru Telescope, they get credits for their course work. The faint signal from the distant universe is not readily noticeable in the quick look data. The high cloud somewhat diminished the signal, but never the enthusiasm of the observers.

subaru2014_2.jpgsubaru2014_3.jpg
Figure 2: (Top) Checking the telescope and the instrument condition during the daytime. (Bottom) Observation at nighttime. (Credit: NAOJ,SOKENDAI)

Toward the end of the observation, the students became confident about the quality of data. They describe their observation experience as precious and unique opportunity of learning, and call out “Come join us at SOKENDAI or other astronomy course, and together let’s explore the universe further.”

【Video】

(Credit: NAOJ,SOKENDAI)

[Link]
Subaru Telescope

天文科学実習IA(すばる実習)報告 日本語ver.

 総合研究大学院大学 (総研大) の大学院生による、すばる望遠鏡を用いた観測実習が2014年11月6日の前半夜に行われました。ハワイ観測所のスタッフのアドバイスも得ながら、赤外線多天体撮像分光装置 MOIRCS を使い、クエーサーの環境を調べる観測に取り組みました。ハワイ観測所の総研大教員がレポートします。

subaru2014_1.jpg
写真1:雲海の上にあるすばる望遠鏡ドーム。雲海に沈み行く太陽を背に、すばる望遠鏡建物のシャッターが開き始めました。同時に建物の側面や、望遠鏡の床下や背後にある風通し用のベンチレータも開いていきます。観測に影響を与えるような空気のゆらぎをできるだけ抑えるため、内部と外部の気温を短時間で等しくしようとしているのです。普通はこの上には雲が無いのですが、このときは上空にも雲がありました。(クレジット:国立天文台、総研大)

 クエーサーのエネルギー源は遠方銀河の中心にある巨大なブラックホールと考えられ、銀河全体の 100 倍以上もの光度を放っているため、宇宙で最も明るい天体現象です。天の川銀河系の中心にもブラックホールがありますが、クエーサーは放射しているエネルギー量が桁違いです。このためクエーサーは遠方にあっても検出できるのです。

 さてそのようなクエーサー生成の手がかりの一つが、クエーサーを含む銀河での星形成です。大規模な星形成があれば、生まれたばかりの星々が自分の周囲や近くにある星間雲の主成分である水素ガスを大量に電離させます。その電離した水素イオンが電子と再結合してもとの中性状態に戻るときに、特徴的なスペクトル線、たとえば Hα と呼ばれる輝線を出します。Hα 輝線はもともと可視光の波長域で出る輝線ですが、今回の対象天体のように赤方偏移 z=2.2 にあると、この輝線が赤外線の波長で観測されるようになります。クエーサー周辺で Hα 輝線を特に多く出している領域の分布を調べるため、ある程度広い視野を持つ近赤外線用の撮像装置として MOIRCS を使いました。

 この観測を行った大学院生たちが所属する総研大は、大学院だけ、しかも国立の研究機関に所属して教育研究を行うことができるユニークな機関です。国立天文台は、この総研大の物理科学研究科天文科学専攻でもあるのです。総研大のカリキュラムでは、すばる望遠鏡での観測が正式の講義科目として卒業に必要な単位に数えることができます。観測自体もですが、そのための準備や、観測後のデータ整約についても、ハワイ観測所スタッフや、総研大の教員を兼任する国立天文台スタッフが指導に加わります。このような大学院生教育は、研究機関として次世代の研究者養成のために重要な責任を担うものであるため、ハワイ観測所およびそのスタッフが力を入れているのです。

 今年のすばる観測実習には5年生一貫博士課程に入学したばかりの1年生2人と、他の大学で修士課程を修了し3年次に入った院生1人が参加しました。気象条件に注意を払いつつ観測の進行をモニターする係、取得されたばかりのデータをチェックする係など分担し、コンピュータのディスプレイ画面に真剣に見入っていました。何しろ遠方のかすかな赤外線をとらえようというのですから、すぐに画面に画像が出てくるわけではありません。薄雲の往来に悩まされつつも、教員のアドバイスも得て、データの質に注意を払いながら、観測を遂行します。

subaru2014_2.jpgsubaru2014_3.jpg
写真2:観測の前に望遠鏡や観測に使う装置をじっくり見学 (上)。昼の間にドーム側の寒いところで、ハワイ観測所のスタッフが行う様々な作業についても理解しました。夜は観測管制室で予め準備したファイルを使い、しかしその夜の気象条件と合わせ見て調整をしながら観測 (下)。(クレジット:国立天文台、総研大)

観測がほぼ終わるころには、データの質もほぼ見通しが付いて来て、少し気持ちが落ち着いて来たのでしょう、院生たちは「このような観測もできる総研大、ひいては天文学の研究分野に多くの学生が来て、一緒に研究を推進し続けて行けることを願っています」と述べていました。

【ビデオ:すばる実習の様子】

(クレジット:国立天文台、総研大)

【参考リンク】
すばる望遠鏡を中心とする学部生向け企画
データ解析 春の学校
観測体験企画
すばる望遠鏡

平成26年度サマーステューデント成果発表会

9月8日(月)、国立天文台三鷹キャンパスにて、平成26年度サマーステューデント成果発表会が開催されました。
今年で5年目となる本プログラムですが、今年は14名の学生がハワイや野辺山、水沢、三鷹など、国立天文台の様々なキャンパスや観測所で体験研究を行いました。
続きを読む

国立天文台特別公開講座/総研大入試ガイダンス(関東会場)

 2014年5月24日(土)、国立天文台三鷹キャンパスに於いて、国立天文台特別公開講演および総研大天文科学専攻入試ガイダンスが行われました。本年は天候にも恵まれ、総勢約50名の方々にご来場いただきました。
 本年度はテーマを“国立天文台で究める最新の宇宙像”として,成田憲保特任助教(太陽系外惑星探査プロジェクト)、富阪幸治教授(理論研究部)、麻生洋一准教授(重力波プロジェクト推進室)、兒玉忠恭准教授(ハワイ観測所)によって、理論・観測における最新の成果と今後の天文学界の展望等についての講演が行われました。特に、成田憲保特任助教による“すばる、岡山、そしてTMTで挑む第2の地球探し”では、地球外生命体の存在についてなど、参加者からの熱心な質問により、白熱した議論が繰り広げられました。

続きを読む