2011.7.11-7.17

7月11日(月) 13:30~15:00 太陽系小天体セミナー  南棟2階会議室
July 11 Mon Solar System Minor Body Seminar, Conference Room, 2F South Bldg

7月12日(火)14:00~15:30 EA-ARCセミナー     すばる棟大セミナー室
July 12 Tue EA-ARC Seminar Large Seminar Room, Subaru Bldg

7月13日(水) 14:00~ 理論コロキウム      コスモス会館会議室
July 13 Wed Colloquim (Theoretical Astronomy) Conference Room, Cosmos Lodge

7月15日(金) 15:00~16:00 VLBI コロキウム 中央棟(南)2階VLBIセミナー室
July 15 Fri VLBI Colloquim Seminar Room, 2F Main Bldg (South)

7月15日(金) 16:00~17:00 国立天文台談話会      すばる棟大セミナー室
July 15 Fri NAOJ Seminar Large Seminar Room, Subaru Bldg

詳細は以下をご覧ください。

7月11日(月)

キャンパス
三鷹
セミナー名
太陽系小天体セミナー
臨時・定例の別
定例
日時
7月11日(月)13:30~15:00
場所
南棟2階会議室
講演者
伊藤孝士
所属
国立天文台
タイトル
オールト雲起源新彗星の力学進化
Abstract
オールト雲は未だに謎に満ちた存在だが、そこは周期の長い等方的彗星の巣窟であり、惑星領域への始原的天体の重要な供給源のはずである。
今回はオールト雲が銀河潮汐力と恒星遭遇によりどのように新彗星を産み出すかを考証し、また新彗星が惑星領域に入り込んだ後にどのような力学的挙動を示すかについての予備的な計算結果を紹介する。
主要な帰結のひとつは、惑星摂動を受ける等方的新彗星の力学的寿命が数千万年に過ぎないことである。
何十億年も惑星領域を漂う等方的彗星は存在しないと言って良い。
また、現代と比較して大きな彗星流量があったはずの惑星形成期直後は所謂 “惑星バリア” に阻まれ、新彗星の内惑星領域への到達確率がやや低く抑えられるなどの結果が得られた。
連絡先
名前:渡部潤一
備考
テレビ参加可、主に英語で進行
Campus
Mitaka
Seminar
Solar System Minor Body Seminar
Regular/Irregular
Regular
Date
July 11th 13:30~15:00
Place
the Conference Room of South Building (2F), NAOJ
Speaker
Takashi Ito
Affiliation
NAOJ
Contents
dynamical evolution of comets from the Oort cloud
Facilitator
Name:Jun-ichi Watanabe
Comment
・welcome to participate via TV conference system
・mainly in English

7月12日(火)

キャンパス
三鷹
セミナー名
EA-ARCセミナー
臨時・定例の別
定例
日時
 7月 12日(火曜日) 14時00分 ~ 15時30分
場所
すばる棟大セミナー室
講演者
池田 紀夫 さん
所属
ISAS/JAXA
タイトル
カメレオン領域の遠赤外線広域イメージから探る分子雲形成とIMFの起源の関係
アブストラクト
天文学研究における根本的な問題の一つとして、星初期質量関数(IMF)の起源が挙げられる。
この問題に対するアプローチの一つとして、星形成の直接の現場である高密度分子雲コアは星形成の初期条件を保持しているとの考えの基、コアの質量関数(CMF)を観測的に求めてIMF形状、特に観測的に顕著な特徴である~1太陽質量以上に見られる冪乗則を比較することが数多く行われている。
実際、多数の高密度(10^4-5 cm^-3)コア研究 (e.g., Motte et al. 1998, Ikeda et al. 2007, Alves et al. 2006)による結論により、高密度CMFにはIMFとよく似た冪乗則が存在していることが明らかとなっている。
さらに近年、より低密度な分子雲構造 (~10^3-4 cm^-3)のCMFにもIMFと類似する冪乗則が存在する事が示されている (Ikeda & Kitamura 2009, 2011)。
結局、IMF冪乗則の起源は10^3 cm-3以下の低密度な分子雲構造の段階まで遡る必要が示唆され、さらには希薄な原子雲からの分子雲形成プロセスと関係している可能性も検討する必要がある。
低密度星間分子雲/原子雲の構造を明らかにするため、日本初の赤外線天文衛星「あかり」に搭載されたFar-Infrared Surveyor (FIS)による指向観測をChamaeleon星形成領域に対して行った。
FISの測光波長域 50 – 180 μmに対してSED解析を行う事で分子雲に付随する低温ダスト (~ 10 K) と原子雲に付随する高温ダスト ( ~ 20 K)それぞれの柱密度分布を領域全域 210 pc四方に渡り空間分解能0.04 pcで構築することが出来た。
高温ダストの物理量は低温H I 雲 (Gibson 2002, Kavars et al. 2005)とよく一致している。一方で低温ダストは減光量マップ (Dobashi 2010)とよく一致しCO観測による分子雲質量(Mizuno et al. 1999)をよく再現する。
高温ダストは領域全域 > 50 pc に渡って分布が広がっている。
一方で低温ダストは領域西部に偏り、< 10 pcスケールの不均一がある。50 pc以上のスケールに渡って広がっている低温H I雲 (高温ダスト) は、高温(~1000 K) H I ガスからの熱的不安定性による形成モデル (Inoue & Inutsu ka 2008, 2009)によりよく説明出来る一方、低温 H I雲からの分子雲形成は、10 pcスケールの不均一性をもたらす重力不安定性が必要である事が示唆される。
高温ダスト、低温ダスト柱密度マップ双方には、0.1 pcスケールの微細構造が存在している事も「あかり」の空間分解能0.04pcにより明らかになった。
これらについてCMFを導出したところ、共に冪乗則を示し、かつその冪指数として2.0+/-0.1, 2.3+/- 0.1を得た。
これはChamaeleon I分子雲で得られている高密度コアのCMF冪指数2.2 (平松他)だけでなく付随する星のIMF冪指数(~2.1; Luhman 2007)とよく一致した。
これらCMF冪指数の一致は、超音速乱流による密度揺らぎからの構造形成モデル(e.g., Hennebelle & Audit 2007)で説明出来る。
実際、高温ダスト、低温ダスト両方について微細構造の柱密度頻度分布を求めると対数正規分布であり、それぞれMach数0.4 – 0.8, 1 – 3の乱流の存在が示唆される。
さらに柱密度パワースペクトラムから上記モデルを使い導出されるCMF冪指数 2.0 ~ 2.3は、我々が観測的に得た冪指数とよく一致する。
結論として、IMFの冪乗則は原子雲からの分子雲形成とそれに伴う乱流による微細構造形成と密接に関係していると考えられる。
連絡先
名前: 西合 一矢
備考
赤外線天文衛星「あかり」に搭載されたFar-Infrared Surveyor (FIS)よる成果の1つとして、ISAS/JAXAの池田さんにこれまでの星形成コアの電波観測とあわせてお話していただきます。
これは「あかり」による広がった赤外成分観測に関する天文台のセミナーにおける初の発表でもあります。
どなたでも参加を歓迎します。ふるってご参加ください。

7月13日(水)

キャンパス
三鷹
セミナー名
理論コロキウム
臨時・定例の別
定例
日時
7月13日(水曜日)14時~
場所
コスモス会館会議室
講演者
小林 正和 氏
所属
国立天文台光赤外研究部
タイトル
宇宙の星形成史におけるダスト減光量補正の妥当性検証
Abstract
宇宙における星形成史は、現在の宇宙にある銀河がどのように形成されてきたかを知るうえで、非常に重要な情報である。
様々な波長における連続光・輝線光度を用いた観測結果は、Hopkins (2004) や Hopkins \& Beacom (2006) にまとめられており、理論家から広く用いられている。
一方、多くの銀河形成の理論モデルから予言される宇宙の星形成史は、観測から得られた値に対してファクター ~3-5 ほど過小評価している。
これら理論モデルが、光度関数などの観測量は再現できている点を考慮すると、星形成史の不一致がどこから来ているのかを調べることは、非常に興味深い。
本発表では、近傍から高赤方偏移にかけて、多様な観測データを再現しうる銀河形成モデル (Kobayashi et al. 2010) を用いて、高赤方偏移で主に用いられる静止系紫外連続光光度に着目し、この不一致の原因について調べた結果について報告する。
連絡先
名前:山崎 大

7月15日(金)

キャンパス
三鷹
セミナー名
VLBIコロキウム
臨時・定例の別
定例 (毎週金曜日の下記の時間)
日時
7月15日(金曜日)15時 ~ 16時
場所
中央棟(南)2階VLBIセミナー室
講演者
服部 公平
所属
東京大学天文学教育研究センター D1
タイトル
「ハロー星の運動に刻印された銀河系形成史」
Abstract
近年、SDSSに代表される大規模サーベイにより、太陽近傍のハロー星の位置、速度、金属量などが比較的高精度で求まるようになってきている。
こうしたデータを用い、Carollo et al. (2010)は銀河系ハローには金属量が比較的多い内部ハロー、金属量が比較的少ない外部ハローという2つの星の成分が存在し、それぞれの成分は異なるメカニズムで形成されたと主張している。
本講演では、このようなハロー星の運動を統計的に解析することで銀河系ハローの形成メカニズムを制限する手法を紹介する。
講演の前半では、内部ハローの軌道離心率の分布を調べることによって分布関数の形状に制限を与え、それによって内部ハローの形成メカニズムを考察する。
講演の後半では、外部ハローの速度分布を用いて外部ハローの形成過程を制限する手法を紹介する。
連絡先
名前: 坂井伸行(秋山和徳)
備考
テレビ参加:可能
キャンパス
三鷹
セミナー名
国立天文台談話会
臨時・定例の別
定例
日時
7月15日(金曜日)16時~17時
場所
大セミナー室
講演者
杉本大一郎
所属
東京大学名誉教授
タイトル
「赤色巨星はなぜ膨れるか – 構造と非線形の科学」
Abstract
天文学の特徴は天体などの構造を扱うところにある。
その拠って来る元は、重力が特性的な距離を持たない(..が無限大な)ところにある。
その結果、システムでは自己エネルギーの効果が問題になり、これが非線形性、コア・ハロー構造とその進化をもたらす。
その様子は巨星の構造に典型的に現れるので、それを例にして考える。
そこでは(われわれが慣れ親しんできた)線形代数の発想法の崩れや、原因と結果に関する発想の文脈にまで影響が及ぶ。
このため非線形の科学は難しいのだが、天文学の場合は(生命科学などの場合とは異なって)システムが単純で、(数値的にではあるが)定量的に扱うことが出来るので、理解の正否をチェックしたり、更に文脈を作り出したりすることも出来る。
数値シミュレーションによって現実に近いモデルを作り出すことが盛んであるが、それをシステムに対する理解に高めようとするときの参考になるかもしれないと考え、敢えて今回の話題を選んだ。
連絡先
名前:浮田信治
Campus
Mitaka
Seminar
NAOJ Seminar
Regular/Irregular
Regular
Date
2011 July 15
Place
Large Seminar Room
Speaker
Daiichiro SUGIMOTO
Affiliation
Univ. of Tokyo, Emeritus
Title,
“Why Red-Giant Stars are so much Puffed – Structures and Non-Linearity in Astronomy”
Facilitator
Name: Nobuharu UKITA

以上