2月2日(月)13:30~15:00 太陽系小天体セミナー 南棟2階会議室
Feb 2 Mon Solar System Minor Body Seminar Conference Room, South Bldg.2F
詳細は以下をご覧下さい。
2月2日(月)
- キャンパス
- 三鷹
- セミナー名
- 太陽系小天体セミナー
- 臨時・定例の別
- 定例
- 日時
- 2月2日(月曜日)13時30分~15時
- 場所
- 南棟2階会議室
- 講演者
- 白旗麻衣
- 所属
- JASMINE検討室
- タイトル
- ガリレオ衛星食を用いた(宇宙赤外線背景放射と)木星大気の観測
- Abstract
- すばる望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡により、木星の影に入ったガリレオ衛星がわずかに光る現象が観測された。本講演ではこのガリレオ衛星食の観測結果について紹介する。
我々は、すばる望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡を用いた観測から、木星の影に入り完全に食の状態となったガニメデとカリストが1.5μmの近赤外線波長域において、一様に明るい(食でない通常の明るさの10^(-6)–10^(-7)倍)ことを発見した。ガリレオ衛星の表面温度はおよそ120Kであり、この明るさはガリレオ衛星自身からの熱放射では説明できない。また、食中のガニメデとカリストは衛星全体が一様な明るさであったため、この現象は極付近でのみ輝くオーロラでも説明できない。この観測は宇宙赤外線背景放射の検出を目指して始められたものであったが、当初「真っ暗」であると期待された食中のガリレオ衛星が、予想に反してわずかに明るいことが分かった。さらに、エウロパは食中においても1.5μmにおいて暗いこと、スピッツァー宇宙望遠鏡の観測により3.6μmにおいてはガニメデも十分に暗いことも明らかになった。
我々はこれらの観測結果から、ガリレオ衛星が食中に明るかった原因は木星上層大気のヘイズによる太陽光の散乱であると考えている。モデル計算においても、木星大気の成層圏上部を通過した太陽光が主に寄与している可能性が示唆されている。木星上層大気は、これまでにも探査機のプローブや木星による恒星遮蔽の観測により研究されてはいたが、十分な情報は得られていなかった。本研究によって、ガリレオ衛星食の継続的な観測により、木星上層大気の組成や構造に対して新たな観測的制限を加えることが可能であることが示された。 - 連絡先
- 名前:渡部潤一
- 備考
- テレビ会議またはスカイプによる参加も可
以上