10月12日(火)
- 15:00~ HDSセミナー すばる棟2階TV会議室
10月13日(水)
- 14:00~ 理論コロキウム コスモス会館会議室
10月15日(金)
- 15:00~16:00 VLBIコロキウム 南研2階VLBIセミナー室
詳細は以下をご覧ください。
10月12日(火)
- キャンパス
- 三鷹
- セミナー名
- HDSセミナー
- 定例・臨時の別
- 定例(※今回のみ火曜です)
- 日時
- 10月12日(火)15:00~
- 場所
- すばる棟2階TV会議室
- 講演者
- 辻本 拓司
- 所属
- 国立天文台
- タイトル
- 軽元素Dが語る銀河系の過去
- 内容
- 重水素(D)は全てがビッグバンで合成され、ビッグバン以降の宇宙進化の中では、星の内部で破壊される反応(astration)だけが繰り返される。
これは、重水素が銀河進化の中で星が形成される度に減少することを意味し、重水素の現在の値とビッグバン合成値との比較(減少度合い:astration factor)から、銀河の星形成史を紐解くことが可能となる。
一方で、星形成は重元素によるenrichment、すなわち化学進化を押し進めるので、銀河内の重水素量と重元素量との間には時間進化において逆相関が成立するという結果を生む。
ところで、太陽近傍は星の平均の重元素量がおよそ太陽組成程度と、かなり化学進化が進んだシステムであると言える。よってこれは、ローカルなガス中の重水素量はかなり少なくなっていることを示唆する。
ところが、最近のFUSEによる観測から重水素量が極めて高い値であることが明らかにされ、星やガスで観測されている重元素量と相容れない結果が提示された。
さらに、星形成史に関する最新の観測データから、ここ数十億年の間、星形成率は急激に低くなっていることが明らかとなり、どのような道筋をもって現在のような重元素量リッチな星とガスのシステムになったのか、新たな謎がもたらされることとなった。
ここで我々は、数十億年前にバルジで起きた爆発的星形成で引き起こされた大規模なウインドによって、大量の重元素がディスクに供給されたというシナリオを提案したい。
このシナリオでは、太陽近傍に存在する重元素の一部は、ローカルな星形成によるものではなく、外(バルジ)から運ばれたこととなり、星形成-重元素-重水素間に成り立つ強い相関を破り、その結果、重元素も重水素も豊富なシステムの実現を可能とする。
さらに、この理論的枠組みの中で、標準的な化学進化モデルでは説明不可能な太陽組成を超える重元素量リッチな星の存在を矛盾なく説明することができる。 - 世話人の連絡先
- 名前:伊藤紘子
- 備考
- TV会議接続可能
10月13日(水)
- キャンパス
- 三鷹
- セミナー名
- 理論コロキウム
- 定例・臨時の別
- 定例
- 日時
- 10月13日(水)14:00~
- 場所
- コスモス会館会議室
- 講演者
- 筒井亮
- 所属
- 京都大学
- タイトル
- ガンマ線バーストで切り開く暗黒時代への距離梯子
- 内容
- 2009年4月23日に起きたガンマ線バースト(GRB)は残光の観測
から赤方偏移z=8.2と決定し、銀河、クエーサーの高赤方偏移記録を更新し、ガンマ線バーストが高赤方偏移観測をリードしていく時代がいよいよ幕を開けたと言える。GRBを光源として高赤方偏移での星形成率、最電離時期の特定、金属量の探査などの研究が盛んに行われているが、近年では絶対光度で数10%の分散を持つ距離指標が見つかったことにより、GRBを”標準”光源として高赤方偏移への距離測定に用いるという研究も注目を集めつつある。”標準”光源としての働きは銀河やクエーサーにはないGRB特有の役割であり、ますますGRB観測の重要性は増しつつあるといえるであろう。
本講演ではガンマ線バーストを用いた宇宙論のレビューと最新の成果を紹介する。 - 世話人の連絡先
- 名前:町田正博
10月15日(金)
- キャンパス
- 三鷹
- セミナー名
- VLBIコロキウム
- 定例・臨時の別
- 定例
- 日時
- 10月15日(金曜日)15:00~16:00
- 場所
- 南研2階VLBIセミナー室
- 講演者
- 林隆之
- 所属
- 東大
- タイトル
- BALクェーサーのVLBA観測の解析経過報告と今後の観測計画~吸収線系を含めたAGN統一モデルの構築に向けて~
- 内容
- Seyfert 1型/2型に代表されるAGNの輝線系はダストのトーラスに覆われた広輝線領域(BLR)とその外側の挟輝線領域(NLR)を仮定した統一モデルで説明される。しかしながらAGNには吸収線系も存在し,これを含めた統一モデルの構築が現在の課題となっている。特に,降着円盤のアウトフローに由来するとされる広吸収線(BAL)を持つ遠方クェーサーはBALクェーサーと呼ばれ,SDSS カタログよりその比率は~20%と一般に言われているが,この比率が
・アウトフローの遮蔽率
・AGN進化のうちのBALを保持している期間
のどちらを示しているのか決着がついていない。
我々は,VLBIの超高分解能によりBALクェーサーのAGNジェットのviewing angleを求め,
この規則性の有無を検証するために電波で明るいBALクェーサーのVLBA観測を6月に行った。
本講演ではこの観測の解析の経過報告を行うとともに,今後の研究計画について述べたいと思う。 - 世話人の連絡先
- 名前:秦和弘(林隆之)
- 備考
- 水沢にはテレビ会議で繋ぎます。