大粒子数を扱える惑星形成過程向けハイブリッドN体シミュレーションコードの開発

【日時】10月28日(水) 10:30~12:00
【場所】国立天文台・三鷹 北研1階講義室
【タイトル】大粒子数を扱える惑星形成過程向けハイブリッドN体シミュレーションコードの開発
【発表者(敬称略)】押野翔一 (総研大 D2・三鷹、指導教員 牧野淳一郎)
現在、標準的な惑星形成論としてコア集積モデルが考えられている。このモデルは主に4つの段階を経て惑星が形成されると考えられている。最初の段階では原始星周囲にガスとダストからなる円盤が形成される。次にダストが赤道面に落下しキロメートルサイズの微惑星ができる。その次の段階では微惑星どうしが衝突合体しより大きい原始惑星へと成長する。最後の段階では原始惑星どうしの衝突やガス集積がおこり惑星になったとされている。
このうちの微惑星衝突段階は重力が支配的でその進化の研究にはN体計算が用いられている。しかし、先行研究で行われているのは粒子数が数万体、1粒子当たりの質量が 10^{23} g 程度のミュレーションであるが、初期に形成される微惑星の質量は 10^{19}-10^{21} g と考えられておりこの質量の微惑星の振る舞いについては良く分かっていない。
そこで本研究では粒子数を増やし高い質量分解能でのシミュレーションを行なえる計算コードを開発し、これらの未解決の問題を解決することを目標とする。大粒子数を扱うには近似計算であるツリー法を使うと計算量を減らせるが、微惑星衝突を精度良く計算したいのでここでは使用する時間刻みを短くする必要がある。
そこで本研究では近接遭遇を取り出し、異なる計算法を用いることで精度と計算速度を両立させる。本発表では今回開発したコードのテスト計算の結果と今後の展望について述べる。