【日時】10月26日(水) 10:30~12:00
【場所】国立天文台・三鷹 中央棟(北)1階 講義室
【発表者(敬称略)】石崎 剛史(総研大 D2・三鷹、指導教員 : 柏川 伸成
【タイトル】High-z QSO survey at z ~ 6 and 7 with Suprime-Cam
【アブストラクト】
宇宙はビッグバンによる誕生の後、宇宙空間中の水素原子核と電子の再結合が起こり中性化した。しかし,現在の宇宙空間はほぼ完全に電離されていることが知られている。これを「宇宙の再電離」と呼び, 宇宙誕生後 10億年以前に起こったことが分かっているが、具体的な時期やどのような天体が主に寄与したのかはよく分かっていない。クェーサーは再電離に影響したと考えられている天体の一つであり、宇宙再電離領域に存在するクェーサーの個数密度から再電離への寄与度合いを見積もることができる。赤方偏移 z > 6.5 のクェーサーの発見は極めて重要であり、再電離期のクェーサー光度関数に制限をかけることができる。また、z~7クェーサーの個数密度は初期巨大ブラックホールの形成モデルにも強い制限を与える。
我々はすばる望遠鏡主焦点カメラ (Suprime-Cam) を用いてUKIDSS DXS 領域に対して2009年6月に 3晩のサーベイを行った。Suprime-Cam の CCD はアップグレードされ、波長 1 ミクロン付近の感度が従来に比べ約 2倍なり観測効率が上がった。観測に用いたフィルターは zR、zB の2バンドである。zR バンドの測光データは、クエーサーと M/L/T型晩期型星との区別に極めて有効である。この観測データと UKIDSS J バンドで撮像された画像データを用いて、z~7のクェーサー候補を探す。
本発表では、z>6.5のクェーサー探査の近況を報告する。