Protocluster at z ~ 6 in SDF

【日時】2月2日(水) 10:30~12:00
【場所】国立天文台・三鷹 中央棟(北)1階 講義室
【発表者(敬称略)】利川 潤(総研大 M1・三鷹、指導教員 : 柏川 伸成)
【タイトル】Protocluster at z ~ 6 in SDF
原始銀河団とは遠方宇宙において銀河の数密度が高い領域を意味し、銀河団の形成途中であると予想できる領域である。
銀河が高密度領域に存在するか、低密度領域に存在するかで銀河の進化は大きく異なることから銀河進化の観点からも原始銀河団は非常に重要である。これまでの原始銀河団の発見の
多くはクエーサーや電波銀河のような天体をプローブとして行われてきた。
私達はSubaru Deep Field(SDF)においてi’-dropout 天体の探査を行ったところ、その数密度が極めて高い領域を発見した。
深い撮像データであるのはもちろん、すばる望遠鏡の広視野を活用することで、非常に稀な天体であるz~6の原始銀河団と考えられる高密度領域を発見できた。
可視のB、V 、Rc、i’、z’バンド、さらに近赤外のJ バンドの撮像データを用いた。特にi’、z’バンドの限界等級はそれぞれ27.72、27.09(3σ、2″ 、AB)という深い撮像データなので、SDF 全体で258 個ものi’-dropout天体を検出できた。この258 個の天体について数密度を求めると、有意に高密度な領域が一つ存在した。
その領域の数密度の有意性は最大で6σにも達し、3σ以上の領域もおよそ10Mpc 四方の広さであった。そして3σ以上の領域に含まれるi’-dropout 天体の数は21 個であった。
この高密度領域を中心に分光観測を行ったところ3次元的にも集中していることが分かった。このことからこの領域が原始銀河団である可能性が高い。さらに特異的な3次元分布を持つことも分かり、このことについても議論する。