【日時】1月27日(水) 10:30~12:00
【場所】国立天文台・三鷹 北研1階講義室
【タイトル】M型矮星のインド・GMRTでの観測結果について 2
【発表者(敬称略)】小池 一隆 (総研大 D2・三鷹、指導教員 出口 修至)
低温矮星(cool dwarfs)は、恒星の中でも特に表面温度の低い矮星(<~3900 K、M,L,T dwarfs)です。
低温矮星に関する詳しい研究は、始められてまだ10年ほどしか経っておらず、低温矮星の磁場活動をよく反映しているとされる電波領域の研究については、近年ようやく観測が行われるようになり、議論されはじめたところです。
恒星からの電波は、これまでに10個程のM、L型星に対して4.8GHzや8.4GHzで検出されています。これら電波の放射機構としては、当初、その周波数や強度から gyrosynchrotron 放射であると考えられていましたが、その後、100%に近い円偏光度を持った電波放射が観測されると、新たに electron-cyclotron maser 放射という考えが登場し、また、そういった変動が見られない電波放射も観測されるなど、現在のところ、まだ良く分かっていません。
そこで私たちは、他の低温矮星についても電波観測を行い、いずれの放射機構が多数を占めるのか、また新たな特徴を持った電波放射が見られないか、調査することにしました。
本発表では、前回の発表に引き続き、私たちが昨年6月にインドのGiant Metrewave Radio Telescope (GMRT)を用いて行ったM型矮星の電波観測についてご報告します。
この観測では、近くにM型矮星が見られる電波源(FIRST天体、1.4GHz)8天体と、以前私たちが行った観測から、同じくM型矮星に近く、低周波数(74MHz、230MHz)で明るい電波源1天体について、3周波数(1400、610、230MHz)の電波観測を行いました。