【日時】11月25日(水) 10:30~12:00
【場所】国立天文台・三鷹 北研1階講義室
【タイトル】超新星背景ニュートリノの検出率予測における星形成率およびニュートリノ温度依存性の検討
【発表者(敬称略)】鈴木 重太朗(総研大 D2・三鷹、指導教員:梶野 敏貴)
近年中に大型の水チェレンコフ観測装置が稼働を開始する予定であるが、観測装置の大型化に伴う測定効率の向上は、超新星背景ニュートリノ(以下SRN)の観測に一層の進歩をもたらすものと期待される。
重力崩壊型超新星の爆発の際には、そのエネルギーの99%をニュートリノが持ち去ると考えられており、その名残とも言えるSRNは、天の川銀河や宇宙論的距離にある系外銀河の時間進化に関する情報を蓄積していると考えられる物質の一つである。
SRNに関するこれまでの理論的研究は、専ら大質量星の形成率を辿ることに焦点を当てており、それは近年の観測的宇宙論において、第1世代天体の形成過程を知るために着目されているものである。
しかし、SRNのエネルギースペクトル推定の根拠には幾つかの不定性が含まれており、これらの不定性は、大質量星の形成率が高い精度で見積もられても減ずることができないと考えられる。そのうちの一つは、重力崩壊型超新星におけるフレーバー毎のニュートリノ温度が分かっていないことである。
今回の発表では、大質量星の形成率に関する最近の観測データを踏まえたうえで、超新星爆発におけるr-過程等に関する数値計算の結果及び軽元素における銀河化学進化(以下GCE)の観測結果等を用いて、理論的計算における上記の不定性を減ずる方法と、これを用いて算出した結果、および今後の研究方針について述べる。