太陽観測衛星「ひので」データの局所的日震学解析

【日時】9月2日(水) 10:30~12:00
【場所】国立天文台・三鷹 北研1階講義室
【タイトル】太陽観測衛星「ひので」データの局所的日震学解析
【発表者(敬称略)】長島 薫(総研大 D3・三鷹、指導教員 関井 隆
これまでの約2年半の博士課程での研究では、太陽表面振動の観測に基づいて太陽の内部構造を探る研究手法「日震学 (helioseismology) 」による太陽データ解析に取り組んできた。
その日震学の中でも特に注目してきたのは、黒点など太陽面上の特定の領域のローカルな表面下構造を探るのに適した手法「局所的日震学 (local helioseismology)」である。
この手法は、表面上の特定の二点間を波がどう伝わるか、例えば波の伝播距離と伝播時間の関係をもとに、その波の通った領域の物理的状態を探る方法である。
1960年代の「五分振動」の発見に端を発する、いわゆる「グローバルな」日震学は、太陽の固有振動の解析から太陽の大局的な内部構造(音速分布や自転角速度分布など)を調べるのに威力を発揮し、現在までの進展で太陽の内部構造モデルは非常に精密なものとなってきた。
これに対して、局所的日震学は1990年代以降に発展してきた比較的新しい分野である。
このため、実際に黒点の表面下構造を描き出すといった成果は出ているが、手法として確立してはいない部分があることも事実である。
今回のコロキウムでは、博士課程におけるこれまでの自身の日震学研究を簡単に振り返りながら、局所的日震学の問題点を議論し、局所的日震学の方法を「つめる」ために取り組んできた試み、たとえば振動シグナルの相互相関関数の統計的モデリング等について紹介したい。