M型矮星の低周波数帯での電波観測について

【日時】12月19日(金) 10:30~12:00
【場所】国立天文台・三鷹 北研1階講義室
【タイトル】M型矮星の低周波数帯での電波観測について
【発表者(敬称略)】小池 一隆(総研大D1 ・野辺山、指導教員 出口 修至)
これまでに恒星からの電波は、10 個程のM、L型星に対して4.8GHz や8.4GHz で検出されています。これら電波の放射機構としては、当初、その周波数や強度からgyrosynchrotron放射であると考えられていましたが、その後、100 %に近い円偏光度を持った電波放射が観測されると、新たにelectron-cyclotron maser 放射という考えが出てくるなど、現在のところ、まだ良く分かっていません。
これら2つの考えを選り分ける手段としては、MHz 帯での低周波数電波観測が考えられ、もし、electron-cyclotron maser 放射であるとすると、低周波(数十~数百MHz) においても強い電波放射が期待できます。
そこで、私たちは低周波電波源のカタログ(LVSS カタログ、74MHz)の中から低温矮星に同定できる低周波電波源があるのかどうか調査し、これら低温矮星の電波放射機構を解明したいと考えました。
そして、今年の6月にインドのプネーにあるGiant Metrewave Radio Telescope (GMRT)で2つの低温矮星について、240MHz の低周波数電波観測を行ってきましたので、今回はその結果について報告します。
また、先行研究において、電波放射をする低温矮星が光学観測でも増光することが確認されており、低温矮星の電波放射機構を調べる上でも、増光の有無を観測する必要性が指摘されています。
そこで、インドで観測した2天体のうちの1天体について、今年の5月に、東京大学の木曽観測所において、105cm シュミット望遠鏡を用いた光学観測も行っているため、その結果についてもお話ししたいと思います。