準汎用並列計算機GRAPE-DR用制御プロセッサの開発および性能評価

【日時】11月28日(金) 10:30~12:00
【場所】国立天文台・三鷹 北研1階講義室
【タイトル】準汎用並列計算機GRAPE-DR用制御プロセッサの開発および性能評価
【発表者(敬称略)】小池 邦昭(総研大D2 ・三鷹、指導教員 牧野 淳一郎)
 自己重力多体問題は球状星団や銀河などをモデル化する方法として有力な手段である。重力相互作用は無限大の到達距離をもっているためにすべての質点にかかる重力を計算する必要がある。この相互作用の計算量は粒子数の2 乗に比例するために多大な時間を要していた。このような問題を解決するため、重力の計算のみを高速に計算できる専用計算機GRAPE-1が開発された(Sugimoto.et.al,1990)。
 このGRAPE-1から6までのGRAPE型の計算機の特長はパイプライン構造の専用回路を多数並列化することで高性能化を実現している。それに対して現在開発中のGRAPEDRはプログラム可能な512個の小規模な演算器を1個の演算プロセッサに集積する方法を
とっている(Makino,2005)。このためGRAPE-DRは演算プロセッサを制御するための制御回路が別途必要になる。本研究ではこの制御プロセッサの実装を行い、重力相互作用の計算を実機で行い性能評価を行った。現時点では重力相互作用では1ボードあたり420Gflops の処理性能が実現されている。最適化は今後の課題である。
 またGRAPE-DR では演算器のプログラムを変更して密行列の計算を高速化することにより大規模な連立1次方程式を解くことが可能になっている。
密行列用に最適化された制御回路を用いて、並列LU分解用ソフトウェアであるHigh Performance Linpack(Petiet.et.al,2004)を高速化した。
 発表では重力相互作用およびLU 分解の高速化に関する性能評価結果について発表し、今後の展望について述べる。