国立天文台・総研大天文学専攻スプリングスクールプログラムが2021年3月8日(月)―3月10日(水)に開催されました。本プログラムは、大学理工系学部3年または2年に在学する天文学研究に強い意欲を持つ学生を対象とし、装置開発を含む最先端の天文学の基礎を学ぶことを目的としています。昨年は新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から残念ながらスクールを中止としましたが、今年は、引き続き参加希望者が多いことから、オンラインでスクールを開催することにいたしました。今年は、光赤外線天文学、電波天文学、太陽物理学、重力波天文学、理論天文学、装置開発の各分野から合計9名の教員が集中講義を行い、日本全国から合計27名の学部学生の参加がありました。講義では、星惑星系の形成進化、太陽・恒星、星間化学、天の川銀河、銀河と宇宙の進化、重力波、ブラックホール・活動銀河核、観測装置の仕組み、など、普段の大学の講義ではあまり触れない内容を学ぶことができました。また、集中講義の他、参加者同士の交流を深めるための「体験学習」をオンラインで実施しました。この「体験学習」は、太陽から遠方宇宙までの様々なスケールの天体や天文現象についての研究を、実験や論文輪読などを通して体験することを目的としています。装置開発の現場をリモートで体験するユニークな体験学習もありました。最後に行われたアンケートでは、「オンライン開催でも不自由なく講義を聞くことができた」「新たな発見があった」「今後の進路の参考にしたい」など、前向きな感想をたくさんいただきました。来年は対面で実施できることを願っています。
伊王野大介(国立天文台 アルマプロジェクト/総研大 物理科学研究科天文科学専攻)、
早野裕(国立天文台 先端技術センター/総研大 物理科学研究科天文科学専攻)