多様体補正法を用いた衛星の軌道数値積分法

【日時】5月7日(水) 10:30-12:00
【タイトル】 多様体補正法を用いた衛星の軌道数値積分法
【発表者(敬称略)】 梅谷 真史 (総研大 D3・三鷹、指導教員 福島 登志夫)
衛星の軌道を高精度かつ高速に求める数値積分法の研究を行った。この研究では多様体補正法と呼ばれる方法を用いた。多様体補正法は Nacozy(1971) により考案された手法であり、近年 Fukushima(2003) によって改良された方法である。その原理は系の持つ物理的な保存量 (もしくは変化が微小である準保存量) を基準に数値解を補正することである。
Fukushima による多様体補正法では摂動二体問題の形で記述される運動方程式において、二体問題の保存量が摂動により時間変化する (準保存量となる)、この値から解を補正した。しかし、衛星及び人工衛星の運動では、いわゆる J2 項 (地球重力場の軸対称性からの
差による摂動) による摂動が大きく Fukushima による多様体補正法では充分な結果が得られていない。
我々は摂動を形式的に分類し全エネルギーやいわゆる Jacobi 積分と呼ばれる量を準保存量として導入した。さらに解の補正法に Ma et al.(2008) による速度スケール変換を用いた。発表では詳しい手法と数値実験による結果、そして今度の発展について報告する予定である。