月別アーカイブ: 2011年4月

Low Frequency Radio Observations for M-dwarfs with the GMRT

【日時】4月20日(水) 10:30~12:00
【場所】国立天文台・三鷹 中央棟(北)1階 講義室
【発表者(敬称略)】小池 一隆(総研大 D3・野辺山、指導教員 : 出口 修至)
【タイトル】Low Frequency Radio Observations for M-dwarfs with the GMRT
【アブストラクト】
 M型矮星は、恒星の中でも特に質量の軽い星です。このような低質量星に関する電波での詳しい研究は、始められてまだ10年ほどしか経っていませんが、これまでに低質量星からの電波と考えられるものが十数個程のM、L型星に対して4.8GHzや8.4GHzで検出されています。これら電波の放射機構としては、当初、その周波数や激しい強度変動からgyrosynchrotron 放射であると考えられてきましたが、その後、100%に近い円偏光度を持った電波放射が観測されると、新たに electron-cyclotron maser放射という放射機構が提案され、さらに今日では、そういった変動の見られない定常的な電波放射も観測されるなど、複数の放射機構が存在すると考えられています。
 そこで私たちは、他の低質量星についても電波観測を行い、いずれの放射機構が多数を占めるのか、また新たな特徴を持った電波放射は見られないのか、調査をすることにしました。本発表では、2009年6月にインドのGiant Metrewave Radio Telescope (GMRT)を用いて行ったM型矮星の電波観測結果について報告します。この観測では、近くにM型矮星が見られる電波源(FIRST天体、1400MHz)8天体について、3つの低周波数(1400、610、240MHz)で観測を行いました。
またその他、今回は低周波電波観測において広い領域のイメージを作成する方法(Polyhedron Imaging)についても簡単にご紹介します。

Molecular Gas Property and Star Formation in the Interacting Galaxies

【日時】4月13日(水) 10:30~12:00
【場所】国立天文台・三鷹 中央棟(北)1階 講義室
【発表者(敬称略)】金子 紘之(総研大 D3・野辺山、指導教員 : 久野 成夫)
【タイトル】Molecular Gas Property and Star Formation in the Interacting Galaxies
銀河は大きな固有速度を持って運動しているため、頻繁に他の銀河 と重力相互作用を起こす。
特に近接相互作用(衝突、合体)を起こすとき、その形状や運動は大きく変化し、銀河の進化に大きな影響を及ぼす。
例えば、銀河の多様性や、高輝度赤外線銀河(ULIRGs)の発現にも相互作用銀河と呼ばれるこのような天体が影響しているといわれて いる。
相互作用銀河の特筆すべき性質の一つに爆発的な星形成活動があげ られる。
1970年代後半以降の観測によって、衝突の進行につれて星形成が活発化していくことが明らかになった。
この現象は数値計算によって多くの研究が進められており、いくつ かのメカニズムが提唱されている。
しかしながら、星形成の直接の母体である分子ガスに関する今まで の観測は、装置的、時間的資源の制限からその殆どがごく限られた領域で行わ れているに過ぎず、星形成が活発化する過程の理解は不十分である。
爆発的星形成の前段階である相互作用初期~中期の天体に対して系の内部を分解して観測し相互作用が分子ガスに与える影響を詳細 に調べることは爆発的星形成のメカニズムを明らかにする上で非常に重要である。
そこで我々は野辺山45m電波望遠鏡を用いて、比較的近傍にあるいくつかの相互作用初期~中期と目される相互作 用銀河に対して12CO(1-0)輝線マッピング観測を続けてきた。
この結果、4天体から十分なS/Nでデータを取得でき、総質量や分布といった基礎的な、しかしこれまであまり得られていない情報を得た。
更に、野辺山COアトラスとの比較から通常銀河との分子ガス状態の違いの議論も可能となった。
今回のコロキウムでは、相互作用銀河における分子ガスの大局的、局所的性質を中心に議論していく。