MAR 22 Tue 10:00~11:30 太陽系小天体セミナー / Solar System Minor Body Seminar zoom
MAR 25 Fri 16:00~17:00 NAOJ Seminar zoom
詳細は以下をご覧下さい
3月22日(火)
キャンパス:三鷹
セミナー名:太陽系小天体セミナー
定例・臨時の別:定例
日時:3月22日(火曜日)10時00分~11時30分
場所:zoom
講演者:紅山仁
所属:東大天文センター
タイトル:木曽 Tomo-e Gozen を用いた元 minimoon 候補天体 2020SO の高速撮像観測
Abstract:地球の水や生命の起源に関する仮説の中で小惑星による物質輸送は有
力な説の一つである。
幾多の衝突を経て生成したと考えられている小惑星は太陽系形成時の情報を保持している可能性があり、
これまでに数々の小惑星探査機によるその場探査、サンプルリターンが実施、計画されてきた。
しかし未だ探査されていない直径 100 m 以下の微小小惑星については、起源、
組成、表面状態などその多くが未解明である。
微小小惑星の最適な研究対象の一つに minimoon がある。minimoon は地球に一
時的に束縛された小惑星 (別称 Temporarily-Captured Orbiter) で、
一定期間地球近傍に存在することから詳細観測の好対象である。2020年2月に発
見された過去2例目のminimoon 2020CD3 発見後には
世界の大型望遠鏡を用いた精力的な観測が実施され、直径 1m 級小惑星の自転周期、スペクトル型が推定された。
一定期間地球近傍に存在することに着目し、minimoon への探査計画も提唱され
ている。
次にいつどこで発見されるかわからない minimoon の観測、探査を成功させるためには事前に観測可能性を把握しておくことが必須である。
そこで我々は2020年9月17日に米 Pan-STARRS が発見した minimoon 候補天体
2020SO に着目した。
2020SOは2020年11月から2021年3月まで地球に一時的に束縛されており、この期間に2度地球に接近した。
我々は2020年11月30日、2021年1月31日に木曽Tomo-e Gozen を用いた 2 fps 高
速動画観測を実施し光度曲線を取得した。
後に2020 SOはアポロ計画の先駆けであるサーベイヤー計画で1966年9月20日に打ち上げられたアトラス・セントールの固体ロケットブースターであることが判明したが、来る minimoon 発見時の観測を模擬したデータを取得することに成功した。
本発表では取得した光度曲線とそこから推定される周期10秒以下の高速自転について報告する。また本観測で得た 2 epoch の光度曲線を用いた形状推定に関する展望を述べる。
(本発表内容は現在進行形の研究です。小惑星、人工天体、minimoon、光度曲線
からの形状推定など、幅広い議論を歓迎いたします。)
世話人の連絡先
名前:渡部潤一
備考:テレビ会議またはスカイプによる参加も可
3月25日(金)
Campus: Mitaka
Seminar: NAOJ seminar
Regularly Scheduled/Sporadic: Every Friday
Date and Time: 2022 March 25 16:00-17:00
Place: Zoom
Speaker:亀谷收/ Kameya, Osamu
Title: 水沢VLBI観測所/ MizusawaVLBI Observatory
Abstract:
私が電波天文に関わってから約41年、国立天文台水沢にお世話になってから31年半、より高い角分解能へのシフトを行う電波天文学の各エポックの中で、特にVLBIの関係者の中でどのような研究のひろがりが出てきたのかについて、改めてここでまとめてみたい。国立天文台水沢では、地球回転の研究をすすめるため、光の位置天文観測から測地VLBIにシフトしつつあった。ところが、面白い事に、VLBIでは高角分解能で天体像を得る事もできた。そこで、一つのVLBI用望遠鏡を使って、二つの研究が行われることになった。水沢地区に作られた口径10m電波望遠鏡は、この二つの目的の研究を行う為には重要な望遠鏡で、完成後まもなく始まった国内VLBI網(J-Net)の1局として天体のイメージの観測の国立天文台のVLBI分野で初めての共同利用観測に供される事になった。国立天文台だけでなく関係機関の電波望遠鏡と研究者の協力で初めて実行できたといえる。その後、完成した新VLBI網であったVERAは、天体位置計測の究極の装置という切り口をもちながら、天体のイメージや測地に対する能力も高く、これらの研究も進むことになった。一方、比較的低い周波数である事で、人工電波の影響を受けやすいという側面もあり、電波天文業務を実施する望遠鏡の保護が大切である。
本講演では、私が関わった幾つかの具体的なトピックを含めながら、これらの状況を述べると共に、少し将来を展望したい。
About 41 years after I was involved in radio astronomy, and 31 and a half years after being taken care of by the National Astronomy Observatory, Mizusawa, among the epochs of radio astronomy that shift to higher angular resolution, especially among the people involved in VLBI. I would like to summarize here again what kind of research has spread. The National Astronomical Observatory of Japan, Mizusawa was shifting from astrometric observation of light to geodetic VLBI in order to promote research on the rotation of the earth. Interestingly, however, VLBI was also able to obtain astronomical images with high-angular resolution. The 10m radio telescope, which was built in the Mizusawa area, was an important telescope for this purpose, and became one of the stations of the domestic VLBI network (J-Net) that started shortly after completion in the VLBI field of the National Astronomical Observatory of Japan for observing astronomical images. It was used for the first common use observations. It can be said that this was achieved for the first time with the cooperation of researchers and telescopes of related research institutes as well as the National Astronomical Observatory of Japan. After that, VERA, which was a completed new VLBI network, has a high ability for astronomical images and geodesy while having the perspective of being the ultimate device for radio astrometry, and these studies have been advanced. On the other hand, since the frequency is relatively low, it is easily affected by artificial radio waves, so it is important to protect the telescopes that carry out radio astronomical observations.
In this talk, I would like to describe these situations and look a little further into the future, including some specific topics that I have been involved in.
Facilitator: 中村 文隆 / Nakamura, Fumitaka