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2011-01

VLBI多周波位置天文計測による相対論的ジェット天体M87の中心エンジン位置の推定

【日時】1月26日(水) 10:30~12:00
【場所】国立天文台・三鷹 中央棟(北)1階 講義室
【発表者(敬称略)】秦 和弘(総研大 D2・三鷹、指導教員 : 川口 則幸)
【タイトル】VLBI多周波位置天文計測による相対論的ジェット天体M87の中心エンジン位置の推定
アブスト:
活動銀河中心核(AGN)で観測される相対論的ジェットは宇宙最大の高エネルギー現象である。ジェットは巨大ブラックホールと降着円盤からなる”中心エンジン”から駆動され、電波~γ線に渡って莫大な放射を解放する。その形成機構や放射機構には今なお多くの謎が残されており、これらの解明は宇宙物理学における最重要課題の1つである。
おとめ座銀河団の中心部に位置する巨大電波銀河M87はこれらの問題を探るキーソースとして長年精力的に研究が行われている。その近さ(16.7Mpc)と大きなBH質量(6×10^9Msun)故、VLBI観測によって~100シュバルツシルト半径(Rs)という圧倒的な空間スケールで構造が分解されている。
しかしながら、最も根本的かつ重要な情報である中心エンジンの”位置”は未だ明らかでない。一般に、VLBI画像に映るジェット根元の高輝度領域”電波コア”は中心エンジンの位置に対応していない。ジェット中のシンクロトロン放射の光学的厚さ~1の表面に対応する。実際、幾つかのAGNジェットでは電波コアから10^4~10^6Rs以上も離れた領域に中心エンジンが位置するという主張がある。
そこで本研究ではM87の中心エンジン位置を突き止めるため、電波コアのコアシフト現象に着目した。コアシフトとは、コアが光学的厚み~1 の領域に対応する場合、高周波で観測されるコアほど上流側に位置がずれる現象である。その周波数依存性を精密に調べることで、中心エンジン位置を推定することができる。
これらを踏まえ、2010年4月にVLBAを用いて2~43GHzで多周波位置天文観測を実施した。その結果、M87の中心エンジンは43GHz 電波コアからわずか20Rs程度しか離れていない場所に存在することが明らかになった。
これは他のジェットで提唱されるコア-エンジン間距離に比べ100倍以上も小さい。
本結果は、43GHzのunresolved regionの中にBH質量降着及びジェット生成の現場をとらえ始めていること示唆している。

Can ULIRG evolve into QSO?

【日時】1月5日(水) 10:30~12:00
【場所】国立天文台・三鷹 中央棟(北)1階 講義室
【発表者(敬称略)】大井 渚(総研大 D2・ハワイ、指導教員 : 今西 昌俊)
【タイトル】Can ULIRG evolve into QSO?
近年の研究から、活動銀河核(AGN)とその母銀河は共進化してきたと考えられており、銀河形成を理解するのに重要であるAGNの中で最も明るい(L_opt>10^12Lsun)QSOは非活動的な銀河と比べて1桁重い~10^8Msun程度の質量の超巨大ブラックホール(SMBH)をもっていることが観測からわかってきている。
gas-rich mergerで形成可能であるというシミュレーション結果もあるが、その形成過程の詳細については未だわかっていない。
超高光度赤外線銀河(ULIRG)はQSOと同程度のエネルギーを赤外線領域で放っている(L_IR>10^12Lsun)天体である。多波長の観測から、ULIRGの多くがgas-rich mergerの最終段階にあるとわかってきており、ガスが晴れ上がった後にQSOに進化する可能性がある天体と考えられている。
これまで可視光観測や浅い近赤外のデータ、また数が限られたサンプルに対して研究が行われてきたが、ガスを多く含み、(合体末期といえど)異なる進化段階にあるULRIGが、本当にQSOに進化するのかどうかを確かめるには不十分であった。
そこで我々は、一様で大きな”1Jy ULIRG サンプル”から、観測可能な50天体に対して十分に深いKバンドの撮像観測を行い、母銀河の有効半径を見積もった。
母銀河の有効半径はSMBHの質量(M_BH)と関係があり、進化段階に鈍感であるため、ガスが晴れ上がった後のM_BHを見積もることができる。
これをQSOのM_BHと比較することで、ULIRG->QSOのシナリオが正しいのどうかを調べる。
本発表では近年のULIRGの研究の状況について紹介するとともに、我々の研究の進捗を報告する。

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