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IRTF Observation Proposal:Star-formation and the origin of SMBH-growth in nearby QSOs

【日時】4月30日(月) 10:30-12:00
【タイトル】IRTF Observation Proposal:Star-formation and the origin of SMBH-growth in nearby QSOs
【発表者(敬称略)】彭之翰 (総研大 M1・三鷹、指導教員 今西 昌俊)
活動銀河中心核 (AGN) は、太陽の数 100 万倍以上の質量を持った超巨大ブラックホール (SMBH) への 質量降着をエネルギー
源として輝いている天体である。最近の観測結果から、SMBHsの降着率とスフェロイド成分(楕円銀河、バルジ成分) の星形成の相関を発見した。
AGN では、中心核の SMBH 活動による放射が支配的であるが、上記の事実は、その周囲に星生成が生じ、AGN に影響を与えると同時に、AGN からの影響も
受けていると考えられる。しかしながら、AGN の中心核の明るい放射のために、周囲に存在しているかも知れない星形成を観測するのが、極めて困難であった。
この問題を解決するために、我々は、銀河の星間空間に広く分布している PAH(Polycyclic Aromatic Hydrocarbon; 芳香属炭化水素)の輝線を用いる。
PAH分子は、AGNの近傍では、AGN からの X 線に破壊されるため、AGNでは、PAH輝線は観測されない。それに対し、星形成領域では、星からの遠紫外線に
よって、PAH 分子が破壊されずに励起されるため、PAH 輝線が観測される。
従って、PAH 輝線は、星形成活動の優れた指標となる。PAH 放射は元々非常に強いため、弱い星生成活動をも検出できる。また、短波長の紫外線や可視光線に比べて、ダスト吸収の影響が小さく、星生成の規模を、PAH 輝線の観測フラックスから定量的に見積もることができる。
我々は、米国ハワイ島マウナケア山頂の米国 IRTF 3m 望遠鏡のSpeX赤外線分光器を用いて、赤外線の波長 3.45μm(L バンド) で、クエーサー(吸収を受けていない明るいAGN)を分光観測する。そして、静止波長3.3μmのPAH輝線の観測フラックスから星生成の規模を定量的に見積もり、中心AGNの光度との相関、及び、質量降着の激しさとの関系を調べる。