総合研究大学院大学天文科学コース

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郷田 直輝(ごうだ なおてる、Gouda, Naoteru)

職名

  • 教授

研究内容の紹介

  • 宇宙の大構造形成、銀河の形成・進化の解析及び自己重力多体系での非線形・非平衡現象、また銀河の力学構造構築方法の研究(特に,星の3 次元的位置や運動情報から,銀河内の全重力物質の位相分布関数を構築する手法開発)を行ってきた。最近ではヨーロッパ宇宙機関が運用中の可視光大型位置天文観測衛星Gaia の観測データを用いた天の川銀河(銀河系)の力学構造や星団等の研究を行っている。さらに、銀河系構造(バルジ、バー、ディスク)と巨大ブラックホールの進化の解明に結びつく銀河系中心核バルジの探究を通じた銀河中心考古学の遂行、運動学的手法による星形成解析、位置天文的手法による系外惑星や高エネルギー天体連星系の解明などを目指し、星の距離や運動を高精度で測定できる赤外線位置天文観測衛星(JASMINE)計画を推進中である。なお、JASMINEは、JAXA宇宙科学研究所により公募型小型計画3号機(イプシロンロケットで打ち上げ予定)の唯一の候補に選ばれており、銀河中心考古学の遂行以外にも低温星周りの生命居住可能領域にある地球型惑星探査も目指し、開発中である。

略歴

  • 京都大学大学院理学研究科博士課程修了。京都大学理学部助手、大阪大学理学部助教授、大阪大学大学院理学研究科助教授、国立天文台位置天文・天体力学研究系教授、国立天文台JASMINE検討室教授(室長)を経て、2019年度より国立天文台JASMINEプロジェクト教授(プロジェクト長)。

専門分野

  • 宇宙の構造形成、銀河の力学構造、高精度位置天文観測

研究のキーワード

  • 位置天文学,天の川銀河,宇宙論,銀河形成

現在の研究課題

  • 天の川銀河(銀河系)の中心部にある中心核バルジ構造内の星の距離や運動を高精度で測定できる赤外線位置天文観測衛星(JASMINE)計画を推進中である。JASMINEの科学目標は、次の3点である。1)赤外線による超高精度位置天文観測により、距離2万6千光年に位置する星の距離と運動を測定し、天の川銀河の中心核構造と形成史を明らかにする、2)太陽系や惑星をもつ星の移動を引き起こす原因となる銀河構造の進化の過程を明らかにし、人類誕生にも関わる天の川銀河全体の形成史を探求する、3)赤外線位置天文観測で達成される高精度な測光能力を活かした時間軸天文観測により、生命居住可能領域にある地球に似た惑星を探査する。具体的には以下の研究を遂行している。ヨーロッパ宇宙機関(ESA)が科学運用中の可視光位置天文観測衛星Gaiaのデータを用いた研究(運動星団による非軸対称構造の解析、機械学習を用いた星団研究等の解析等)、また将来のJASMINEの観測データで期待される科学的成果に関連する研究(巨大ブラックホールの中心落下にともなう力学的緩和、内部バー構造と中心巨大ブラックホールの進化関連など)を行っている。さらに、JASMINEのデータ解析手法の開発研究、観測装置の開発等も行っている。

所属学会

  • 日本天文学会、国際天文学連合(IAU)、日本物理学会

主要業績 (論文、著書)

  • Gouda, Naoteru; Sugiyama, Naoshi; Sasaki, Misao Large Angle Anisotropy of the Cosmic Microwave Background in an Open Universe, Progress of Theoretical Physics, 80, 1023(1991)
  • Sugiyama, Naoshi; Gouda ,Naoteru Perturbations of the Cosmic Microwave Background Radiation and Structure Formations Formations, Progress of Theoretical Physics, 80, 803(1992)
  • Yano, Taihei; Nagashima, Masahiro; Gouda, Naoteru Limitations of the Press-Schechter Formalism, Astrophysical Journal, 466, 1(1996)
  • Tsuchiya, Toshio; Gouda, Naoteru; Tetuo Konishi Relaxation processes in one-dimensional self-gravitating many-body systems,Physical Review E, 53, 2210(1996)
  • Nagashima, Masahiro; Yoshii, Yuzuru; Totani, Tomonori; Gouda, Naoteru, Galaxy Number Counts in the Subaru Deep Field: Multiband Analysis in a Hierarchical Galaxy Formation Model, Astrophysical Journal, 578, 675(2002)
  • Nagashima, Masahiro; Yahagi, Hideki; Enoki, Motohiro; Yoshii, Yuzuru; Gouda, Naoteru, Numerical Galaxy Catalog. I. A Semianalytic Model of Galaxy Formation with N-Body Simulations, Astrophysical Journal, 634, 26(2005)
  • Gouda, Naoteru; JASMINE working group, JASMINE: Infrared Space Astrometry Mission, Transcations of the Japan Society for Aeronautical and Space Science, Aerospace Technology Japan, 8(No.ists27), To.4.7(2010)
  • Gouda, Naoteru., JASMINE, Scholarpedia, 6(10): 12021., 2011.http://www.scholarpedia.org/article/JASMINE
  • Gouda, Naoteru, and JASMINE team, Infrared space astrometry mission for survey of the Galactic nuclear bulge: Small-JASMINE, IAUS353: Galactic Dynamics in the Era of Large Surveys, 2019
  • 郷田直輝, 「重力多体系の力学構造と非線形現象」, 数理解析研究所講究録, 1885, RIMS共同研究「長距離力に支配された多体系自己組織化の統一的理解を目指して」, 2014年4月.
  • 郷田直輝, 「衛星による赤外線位置天文観測の方法と技術 」, 計測と制御, 56巻, 2017年6月号.
  • 郷田直輝, 「Nano-JASMINEから小型JASMINEへ」, 天文月報, 111(7), 452-459, 2018.
  • 『宇宙旅行ガイド 140億光年の旅』、丸善(2006年出版)、共著での執筆(第14章担当)
  • シリーズ現代の天文学第1巻『人類の住む宇宙』、日本評論社(2007年出版)、共著での執筆(第2.4節担当)
  • シリーズ現代の天文学第4巻『銀河I』、日本評論社(2007年出版)、共著での執筆(第6.1節担当)
  • シリーズ現代の天文学第11巻『天体物理学の基礎I』、日本評論社(2009年出版)、共著での執筆(第1.3節担当)

最近の研究業績

a) 編著書
  • 『天の川銀河の地図をえがく』、旬報社(2009年出版)
  • 『ダークマターとは何か 天の川銀河探査で挑む宇宙論最大の謎』, PHPサイエンス・ワールド新書(2012年出版)
  • 『宇宙のことがだいたいわかる 通読できる宇宙用語集』(単行本), ベレ出版(2014年出版)
b) 論文等
  • Inoue, S., Gouda, N., Astrometric mock observations for determining the local dark matter density, A&A, 555. A105, 2013.
  • Yamada, K., Yamaguchi, M., Asada, H., Gouda, N., Improving the moment approach for astrometric binaries: possible application to Cygnus X-1, PASJ, 66, id.978pp., 2014.
  • Ueda, H., Hara, T., Gouda, N., Yano, T., Torus-fitting method for obtaining action variables in two-dimensional Galactic potentials, MNRAS, 444, 2218-2227, 2014.
  • Tagawa, H., Umemura, M., Gouda, N., Yano, T., Yamai, Y., Early cosmic merger of multiple black holes, MNRAS, 451, 2174-2184, 2015.
  • Tagawa, H., Umemura, M., Gouda, N., Mergers of accreting stellar-mass black holes, MNRAS, 462, 3812-3822, 2016.
  • Tagawa, H., Gouda, N., Yano, T., Hara, T., The validation of made-to-measure method for reconstruction of phase-space distribution functions, 463, 927-951, 2016.
  • Yamaguchi, M. S., Yano, T., Gouda, N., Uncovering the identities of compact objects in high-mass X-ray binaries and gamma-ray binaries by astrometric measurements, MNRAS, 474, 4756-4765, 2018.
  • Hattori, K., Gouda, N., et al., Metallicity dependence of the Hercules stream in Gaia/RAVE data - explanation by non-closed orbits, MNRAS, 484, 4540-4562, 2019.
c) 新聞記事(インタビュー)
  • 2011「星の位置測り宇宙探る」『朝日小学生新聞』、1月3日
  • 2019「JAXA, 2衛星打ち上げへ」、『朝日新聞』、5月22日
  • 2020 「星までの距離はどうしてわかるの?」、『日経産業新聞』、1月31日
  • 2020「国立天文台から銀河旅行へ(第2回):天の川銀河」『山形新聞、琉球新報、徳島新聞、静岡新聞、河北新報、沖縄タイムス、山陰中央新報こども新聞、週刊さんいん学聞、東京新聞夕刊、中日こどもWEEKLY』、5月17日など
d) 雑誌(インタビュー含む、対談、その他)
  • 2005「見えない物質『ダークマター』は、どのように存在するか?」『ニュートン』1月号,pp.52-53. (株)ニュートンプレス
  • 2008「立体的にみた銀河系」(協力)『ニュートン別冊「よくわかる天の川銀河系」』2月号
  • 2010「天体までの距離のはかり方」『ニュートン』4月号
  • 2012 「宇宙の距離」監修 『ニュートン』10月号
  • 2014 「『天の川の立体地図作り』に小さな衛星が挑む理由」、『三菱電機DSPACEコラム:読む宇宙旅行』、3月13日
  • 2014 「進む宇宙の地図作り」 『日経サイエンス』、5月
  • 2014 プラネタリウム監修 『天の川~悠久の星物語』(つくばエキスポセンター) 7月~8月上映
  • 2014 「天体までの距離のはかり方」(協力) 『ニュートン別冊「銀河系全図」』、12月
  • 2015 「天の川銀河の地図をつくる」 『ドラえもん宇宙作品集(小学2年生増刊集)』、2月
  • 2016「企画人にインタビューNo.2」 『宇宙フリーマガジン TELSTAR vol.13』、10月
  • 2016 『 NHKコズミックフロントNEXT 「銀河鉄道からのメッセージ 宮沢賢治の宇宙論」』に一部出演、10月13日
  • 2018 「天文単位、光年、パーセク」(協力) 『ニュートン別冊 「単位と法則 新装版」』、10月
  • 2019 『超難解!? 明日話したくなる神授業 宇宙編』に出演(博多華丸・大吉共演)、1月5日(BSフジ)、1月10日(地上波フジ)
  • 2019 「銀河系の新しい姿」(協力) 『ニュートン別冊 「銀河のすべて」』、12月

台外活動(大学教育、社会活動、アウトリーチ等)

  • 東京大学大学院教授(2010年度-2020年度)、鹿児島大学客員教授(2003年度-2010年度、2012年度-)、日本天文学会理事(2001-2004)、日本天文学会評議員(2006-2009)、JAXA宇宙科学研究本部宇宙理学委員(2005年度-2006年度、2017年度―2018年度)、日本宇宙フォーラム等主催衛星設計コンテスト実行委員(日本天文学会より委託:2007-2010)、日本天文学会代議員推薦委員会委員長(2012年度)、日本天文学会監事(2012-2015)、JAXA宇宙科学研究所客員教授(2019年度)、日本天文学会代議員(2018-2021)、天文科学振興財団理事(2019年度-)

代表者を務めた研究・プロジェクト

  • JASMINE(赤外線位置天文観測衛星)計画(現在、国立天文台JASMINEプロジェクト長)

関連ホームページ

連絡先

  • naoteru.gouda[at]nao.ac.jp
    ([at]を@に変更してください)

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