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天文科学コース概要
1.総合研究大学院大学 先端学術院 天文科学コースの概要
天文科学コースでは最先端の光学赤外線望遠鏡、電波望遠鏡を用いたさまざまな観測的研究及び理論的研究を通じて高度な教育研究を行います。より具体的には天文観測の基礎となる先端的新技術の学理と応用、新しい観測装置の設計・製作・実験、データ取得・解析法の開発等の観測天文学の基礎・応用にわたる技術開発とそれらを用いた観測的研究およびスーパーコンピュータなどを用いた理論研究を含む天文科学研究を行っています。
本コースは学士を受け入れる5年一貫制博士課程、および修士を受け入れる3年制博士後期課程の2つの課程から成り、コースに所属する院生は三鷹市に本部をおく自然科学研究機構国立天文台で学修・研究活動を行います。
2.目指す博士像
本コースでは、世界最先端の観測装置やスーパーコンピュータを有する研究環境の下で、天文学および関連する分野の観測的・理論的、また装置開発に関わる研究を通じ、
マウナケア山頂のすばる望遠鏡など
- 世界第一線で活躍できる研究者
- 先端技術の発展を担う専門家
- 高度な専門知識を背景に科学の普及に努める人材
として社会に貢献できる人材を育成することを目的とします。
3.学修活動・研究活動
本コースの学生は、指導教員、副指導教員、指導補助助教の3名からなるコース内の複数指導教員から研究指導を受けます。観測的・理論的または開発的研究を独立して行うことができるようになるための系統的な指導を基本とし、(1)自然科学全般に関わる基礎学力、(2)天文学及び関連する分野での専門的知識と研究能力を養成するとともに、(3)国際的に活躍できるコミュニケーション力および専門的知識と技術を社会に還元する表現能力を育てることにも配慮したカリキュラムが編成されています。自然科学全般に関する基礎学力を涵養する科目の他、光赤外線天文学分野、電波天文学分野、共通基礎天文学分野で開講される科目をバランスよく学ぶことで天文学及び関連する分野での専門的研究能力を養います。実習科目では、光学望遠鏡、電波望遠鏡での観測を行い観測の基礎を実地で学ぶとともに、演習により、少人数による実践的・能動的な教育機会が提供されています。「天文科学考究」では英語による研究発表を定期的に行い、「科学英語演習」、「英語によるプレゼンテーション」で系統的に英語での発表力、ディスカッション力を養います。また、「科学コミュニケーション入門」 では専門的知識と技術を社会に還元する表現能力を育てます。国際性の涵養と研究力強化のために、総合研究院大学のインターンシップを活用して国内外の著名研究者に指導を仰ぐことも推奨しています。本コースでは研究指導を含む学習成果の評価のために、コースの教員団の前で、大学院生1人1人が、研究の進展を発表する機会を年次進行に沿って定期的に行います(研究中間レポート(特定課題研究であり2年次実施)、成果発表(4年次実施)、学位予備審査(5年次実施))。教員団は大学院生各自の研究の進展を確認し、アドバイスを与えるとともに、おのおのの指導教員団へその指導方針に関するフィードバックを行います。
また本学では、所属するコースに捉われず、学生各自の研究の方向や進展に応じた自由な着想で他コースの授業科目を履修すること、他コースの教員による共同指導を受けることも推奨しています。
4.学位を取得するには
世界の第一線での研究や先端技術の開発を進める人材として、または高度な専門知識を背景にした科学の普及に携わる人材として、天文学および関連する分野において、独創的で新たな知見を付け加える、観測的・理論的または開発的研究を、独立して遂行する能力を身につけたと認められる者に学位を授与します。1)学位論文の研究が査読のある欧文学術雑誌に、候補者を主著者として発表されているか、学位授与後1年以内に発表されること、2)査読のある欧文学術雑誌に、候補者を主著者とする論文1編が出版済みであること、の2つを求めています。1)は学位論文研究の水準に関する要件、2)は研究遂行能力が備わっていることを客観的に保証するための要件です。学位論文研究の内容が出版済みである場合、この1編で1)2)を同時に満足するものとします。学位論文研究の内容が未出版の場合、1)2)を別々に満足しなければなりませんが、2)の論文1編の内容は、博士論文に含まれないものでも構いません。
5年一貫制博士課程では、一定の条件を満たした場合に修士の学位を取得することができます。
5.入学を目指す方へ
求める学生像
天文・宇宙に強い関心があり、未解決問題の解明に、理論的・観測的研究、あるいは観測装置の開発研究を通して取り組む意欲があり、そのために必要な基礎学力および論理性、創造性などの素養を持つ学生を求めます。
入学者選抜の考え方
入学者を選抜するにあたっては、物理学、数学などの基礎知識と理解度、英語力、論理性、創造性、研究への意欲、将来性があるかを総合的に判断して行います。博士後期課程への出願者に関しては、定められた年限で博士の学位を取得できるかどうかも判断基準とします。
6.コースの研究紹介
志望にあたっては詳しい研究内容を確認のうえ、志望する指導教員と相談されることをお勧めします。
指導教員の個人の研究内容とメールアドレスは 教員紹介のページにあります。適当な指導教員が探せない場合は各分野の下記ガイダンス担当教員にコンタクトしてください。メールアドレスの”[at]”は”@”に置換してください。
天文科学コースは、光赤外線天文学系、電波天文学系、共通基礎天文学系の3つの主な分野からなります(各分野は旧天文科学専攻における「講座」に相当します)。
光赤外線天文学系
地上の望遠鏡で観測可能な可視領域と近赤外領域の波長の光で天体を研究する分野。研究対象は銀河、恒星、星間物質、系外惑星、太陽系天体、など幅広い。国立天文台が有する光学赤外線望遠鏡すばる8.2メートル鏡(ハワイ観測所)を駆使して観測的、理論的研究が進められています。
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ガイダンス担当教員:青木 和光(aoki.wako[at]nao.ac.jp)
電波天文学系
電波領域の電磁波を主な観測手段とする天文学の分野。野辺山45m電波望遠鏡、同電波ヘリオグラフ、超長基線電波干渉計などの観測装置を用いて、 銀河、恒星、星間物質、系外惑星、太陽系など幅広い天体について、主に観測的な研究、装置開発研究を進めています。チリ・アタカマに日米欧共同で建設したALMA望遠鏡による観測も開始されています。
電波天文学系の [教員紹介へ]
ガイダンス担当教員:立松 健一(k.tatematsu[at]nao.ac.jp)、竝木 則行(nori.namiki[at]nao.ac.jp)
共通基礎天文学系
理論天文グループ、太陽物理グループ、重力波グループ、データベース天文グループなどさまざまな研究手段で天文・天体物理を研究する講座です。 スーパーコンピュータ、太陽観測衛星「ひので」、太陽観測望遠鏡、レーザ干渉計型重力波検出器(KAGRA)などの装置を駆使して、 宇宙論、銀河、星間物質、系外惑星、太陽、太陽系などの研究を進めています。
共通基礎天文学系の [教員紹介へ]
ガイダンス担当教員:関井 隆(takashi.sekii[at]nao.ac.jp)