コロキウム」カテゴリーアーカイブ

Behavior of Blue Straggler Stars in Dwarf Spheroidal Galaxies

【日時】6月1日(水) 10:30~12:00
【場所】国立天文台・三鷹 中央棟(北)1階 講義室
【発表者(敬称略)】Zhao Zhengshi(総研大 D2・三鷹、指導教員 : 有本 信雄)
【タイトル】Behavior of Blue Straggler Stars in Dwarf Spheroidal Galaxies
Blue straggler stars (BSSs) are located above and blue-ward of main sequence turn off (MSTO) in color-magnitude diagram (CMD) of stellar systems. They have been identified in many stellar systems during past 60 years, since discovered by Sandage (1953) in globular cluster (GC) M3. The locations of BSSs imply that they are more massive than MSTO stars if they are normal single stars, and considering all stars in a cluster had formed at the same time, according to standard theory of stellar evolution, BSSs should have evolved to white dwarfs long ago.
However, they appear along the MS and lazy to evolve as other stars in the same cluster. Two different mechanisms of them are commonly believed nowadays: mass transfer in binary systems and stellar merger occurred through a direct stellar collision. The former might be dominant in lower density environments, whereas the later might be considered to mainly occur in high-density environments.
Relative frequency of bimodal distributions, concentrating in central regions and decreasing at intermediate radius and rising again in the outskirts, are a characteristic phenomenon of BSSs in GCs. Dynamical simulation of Mapelli et al (2004) showed that these distributions can be reproduced by requiring the central BSSs formed mainly by CL
mechanism, and the outskirt BSSs formed by MT mechanism. On the contrary, radial distributions of BSSs in three dSphs Draco, Ursa Minor and Sculptor, shows quite flat distribution and that are consistent with model predictions for BSS formation by MT mechanism (Mapelli et al 2007 & 2009). However, in dwarf galaxies both of young
MSs and old BSSs are located on the blue ward of current MSTO. Momany et al. (2007) derived a statistically significant anti-correlation between BSSs’ relative frequency and absolute magnitude of dSphs which had been found in GCs and OCs, and mentioned that the anti-correlation can be used as a discriminator: galaxies obeying the anti-correlation are more likely to possess genuine primordial BSS rather than young
main sequence stars.In view of small range of luminosity of their samples (-10

Exploring galaxy clusters using weak lensing and spectroscopic redshift

【日時】5月25日(水) 10:30~12:00
【場所】国立天文台・三鷹 中央棟(北)1階 講義室
【発表者(敬称略)】内海 洋輔(総研大 D3・三鷹、指導教員 : 宮崎 聡)
【タイトル】Exploring galaxy clusters using weak lensing and spectroscopic redshift
銀河団は重力的に束縛した宇宙最大の系であり.その質量の殆どはダークマターで占められている.
銀河団の進化は自己重力と宇宙膨張のせめぎ合いで決まるので,銀河団の個数や質量関数,その進化を調べることで,宇宙論パラメータを決めることができる.
こうした研究をすすめるためには,まず銀河団カタログを構築しなければならない.
我々は弱重力レンズによる検出法を採用した.この手法は質量を直接トレースできるので,複雑な物理過程を仮定することなく銀河団を検出できるのが特徴である.一方で,視線方向に重なった構造をすべて積分した結果が観測されてしまうという欠点もある.
我々は弱重力レンズによる質量分布と分光観測結果を比べ,奥行き構造について調べた.今回はさらに質量分布の構築法を改善し,より銀河団らしく,よりノイズを落とすような “Optimal” フィルタを採用しテストした.その結果について報告し,将来的な HSC を使った弱重力レンズによる銀河団カタログ構築と,それを使った宇宙論パラメータの制限についての展望を述べる.
また今回の観測では偶然にも多数の $z=0.5$ の比較的赤方偏移の大きい銀河団を発見した.本観測領域の特徴や銀河団プロファイルに対する観測的制限も行ったので合わせて報告する.

原始星形成過程の輻射磁気流体シミュレーション

【日時】5月11日(水) 10:30~12:00
【場所】国立天文台・三鷹 中央棟(北)1階 講義室
【発表者(敬称略)】富田 賢吾(総研大 D3・三鷹、指導教員 : 富阪 幸治)
【タイトル】原始星形成過程の輻射磁気流体シミュレーション
星形成過程では様々な物理が重要になるが、多次元の輻射流体計算に基づく研究は始まったばかりである。これまで、低質量星の形成においては輻射輸送の効果は比較的重要ではなく、バロトロピック近似でも定性的に尤もらしい結果が得られると考えられてきた。しかし最近の研究では、原始星コアが形成される際に莫大なエネルギーが輻射で放出されて周囲のガスを加熱し、アウトフローが放出される(Bate 2010)、ファーストコアが破壊される(Schoenke & Tscharnuter 2011)といったこれまでの理解とは全く異なる現象が起こり得ることが報告されている。
これまで我々は多重格子輻射磁気流体計算により星形成過程初期に形成されるファーストコアについて研究を進めてきたが、原始星コア形成にまで研究を進めるため、目下化学反応を考慮した現実的状態方程式を取り入れたコードを開発している。本発表では関連する先行研究を紹介するとともに今後の方針について述べる。

Low Frequency Radio Observations for M-dwarfs with the GMRT

【日時】4月20日(水) 10:30~12:00
【場所】国立天文台・三鷹 中央棟(北)1階 講義室
【発表者(敬称略)】小池 一隆(総研大 D3・野辺山、指導教員 : 出口 修至)
【タイトル】Low Frequency Radio Observations for M-dwarfs with the GMRT
【アブストラクト】
 M型矮星は、恒星の中でも特に質量の軽い星です。このような低質量星に関する電波での詳しい研究は、始められてまだ10年ほどしか経っていませんが、これまでに低質量星からの電波と考えられるものが十数個程のM、L型星に対して4.8GHzや8.4GHzで検出されています。これら電波の放射機構としては、当初、その周波数や激しい強度変動からgyrosynchrotron 放射であると考えられてきましたが、その後、100%に近い円偏光度を持った電波放射が観測されると、新たに electron-cyclotron maser放射という放射機構が提案され、さらに今日では、そういった変動の見られない定常的な電波放射も観測されるなど、複数の放射機構が存在すると考えられています。
 そこで私たちは、他の低質量星についても電波観測を行い、いずれの放射機構が多数を占めるのか、また新たな特徴を持った電波放射は見られないのか、調査をすることにしました。本発表では、2009年6月にインドのGiant Metrewave Radio Telescope (GMRT)を用いて行ったM型矮星の電波観測結果について報告します。この観測では、近くにM型矮星が見られる電波源(FIRST天体、1400MHz)8天体について、3つの低周波数(1400、610、240MHz)で観測を行いました。
またその他、今回は低周波電波観測において広い領域のイメージを作成する方法(Polyhedron Imaging)についても簡単にご紹介します。

Molecular Gas Property and Star Formation in the Interacting Galaxies

【日時】4月13日(水) 10:30~12:00
【場所】国立天文台・三鷹 中央棟(北)1階 講義室
【発表者(敬称略)】金子 紘之(総研大 D3・野辺山、指導教員 : 久野 成夫)
【タイトル】Molecular Gas Property and Star Formation in the Interacting Galaxies
銀河は大きな固有速度を持って運動しているため、頻繁に他の銀河 と重力相互作用を起こす。
特に近接相互作用(衝突、合体)を起こすとき、その形状や運動は大きく変化し、銀河の進化に大きな影響を及ぼす。
例えば、銀河の多様性や、高輝度赤外線銀河(ULIRGs)の発現にも相互作用銀河と呼ばれるこのような天体が影響しているといわれて いる。
相互作用銀河の特筆すべき性質の一つに爆発的な星形成活動があげ られる。
1970年代後半以降の観測によって、衝突の進行につれて星形成が活発化していくことが明らかになった。
この現象は数値計算によって多くの研究が進められており、いくつ かのメカニズムが提唱されている。
しかしながら、星形成の直接の母体である分子ガスに関する今まで の観測は、装置的、時間的資源の制限からその殆どがごく限られた領域で行わ れているに過ぎず、星形成が活発化する過程の理解は不十分である。
爆発的星形成の前段階である相互作用初期~中期の天体に対して系の内部を分解して観測し相互作用が分子ガスに与える影響を詳細 に調べることは爆発的星形成のメカニズムを明らかにする上で非常に重要である。
そこで我々は野辺山45m電波望遠鏡を用いて、比較的近傍にあるいくつかの相互作用初期~中期と目される相互作 用銀河に対して12CO(1-0)輝線マッピング観測を続けてきた。
この結果、4天体から十分なS/Nでデータを取得でき、総質量や分布といった基礎的な、しかしこれまであまり得られていない情報を得た。
更に、野辺山COアトラスとの比較から通常銀河との分子ガス状態の違いの議論も可能となった。
今回のコロキウムでは、相互作用銀河における分子ガスの大局的、局所的性質を中心に議論していく。