Can ULIRG evolve into QSO?

【日時】1月5日(水) 10:30~12:00
【場所】国立天文台・三鷹 中央棟(北)1階 講義室
【発表者(敬称略)】大井 渚(総研大 D2・ハワイ、指導教員 : 今西 昌俊)
【タイトル】Can ULIRG evolve into QSO?
近年の研究から、活動銀河核(AGN)とその母銀河は共進化してきたと考えられており、銀河形成を理解するのに重要であるAGNの中で最も明るい(L_opt>10^12Lsun)QSOは非活動的な銀河と比べて1桁重い~10^8Msun程度の質量の超巨大ブラックホール(SMBH)をもっていることが観測からわかってきている。
gas-rich mergerで形成可能であるというシミュレーション結果もあるが、その形成過程の詳細については未だわかっていない。
超高光度赤外線銀河(ULIRG)はQSOと同程度のエネルギーを赤外線領域で放っている(L_IR>10^12Lsun)天体である。多波長の観測から、ULIRGの多くがgas-rich mergerの最終段階にあるとわかってきており、ガスが晴れ上がった後にQSOに進化する可能性がある天体と考えられている。
これまで可視光観測や浅い近赤外のデータ、また数が限られたサンプルに対して研究が行われてきたが、ガスを多く含み、(合体末期といえど)異なる進化段階にあるULRIGが、本当にQSOに進化するのかどうかを確かめるには不十分であった。
そこで我々は、一様で大きな”1Jy ULIRG サンプル”から、観測可能な50天体に対して十分に深いKバンドの撮像観測を行い、母銀河の有効半径を見積もった。
母銀河の有効半径はSMBHの質量(M_BH)と関係があり、進化段階に鈍感であるため、ガスが晴れ上がった後のM_BHを見積もることができる。
これをQSOのM_BHと比較することで、ULIRG->QSOのシナリオが正しいのどうかを調べる。
本発表では近年のULIRGの研究の状況について紹介するとともに、我々の研究の進捗を報告する。