近傍PG QSOにおける広輝線領域の近赤外分光観測

【日時】11月24日(水) 10:30~12:00
【場所】国立天文台・三鷹 中央棟(北)1階 講義室
【発表者(敬称略)】今瀬 佳介(総研大 M2・三鷹、指導教員 : 今西 昌俊)
【タイトル】近傍PG QSOにおける広輝線領域の近赤外分光観測
活動銀河中心核(AGN)の構造は、中心領域に降着円盤を有する超巨大質量BH、その周囲に幅の広い輝線を出す広輝線領域(BLR)が存在し、それらを取り囲むようにダストトーラスによって覆われていると考えられている(AGN統一モデル:Antonucci 1993)。
特にBLRはその輝線幅がBHの質量を求めるために使われているように、AGNの中心部分を探る上で欠かすことができない領域である。
長い間主に紫外線・可視光の領域で研究がすすめられてきてはいるものの、その構造が球対称か円盤状なのかなど、現状では未だわかっていないことが多い。
一方で赤外線を用いた分光観測によるBLRの研究は、「減光の影響を受けにくい」、「低電離状態の領域を探ることができる」などのメリットを持つにもかかわらず、十分に研究がなされているとは言えない。
またBLRの物理状態を研究する上で、各波長間の比較をすることは重要である。
そこで現在我々は、近傍のPG QSOサンプルをIRTF/SpeXを用いて近赤外(K,Lバンド)分光観測することによって得られたデータから、主にPaα輝線に着目してBLRの研究を行っている。
今回の発表では現時点での進捗状況を報告し、将来の展望について述べる。